本年度は研究初年度であり、各種研究機器の設置が必要事項であったが早期に完了し研究計画は、順調に進展している。 計画の骨子を成す前眼部の微小循環系としての毛様体・虹彩の血管構築の解明では猿眼を用いた研究モデルを使用し多くのデータが集積されて居り引き続き実験の推進と共に解析を行っている。毛様体・虹彩の血管系は、後毛様動脈系と前毛様動脈系の二系の血管系で支配されて居り、それぞれの分布や支配領域・吻合の頻度・生理的役割について解明を行っている段階である。又、調節や散瞳・縮瞳に対するこれらの血管の対応様式も併せて解析を加えている。負荷に使用している薬剤は、ピロカルピン、フォスフォリンアイオダイドなどである。 本研究は、前眼部の血液循環に関するテーマと房水循環に関するテーマがあり、後者についても鋭意研究中であり、現在、房水排出ルートの立体構築の解明を急いでいる。現在行っているのは、房水排出路の中での抵抗の局在性についての検討であり、角強膜線維柱帯と内皮網の移行部が最も重要と考えられ、実験を展開中である。このテーマでも同様に薬剤負荷も行って居り、多くのデータが集積している。以上の一連の研究の中で、購入した走査電子顕微鏡は、樹脂注入法による標本観察に欠くべからざるもので、極めて有効に使われて居り、現在までに集積・解析されたデータは、本年5月にローマで開かれる、国際眼科学会と本年9月に名古屋で行われる国際眼研究会議に発表の予定であり、その他の学会にも順次発表の予定である。 以上の如く本研究は、初年度より極めて有効な実施がなされて居り今後も鋭意研究の継続、発展を行うものである。
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