研究概要 |
1.ウシ網膜S抗原の精製: 網膜は低張処理をおこなって可溶性成分を溶出させ、硫酸アンモニウムにより塩析し、沈渣を溶解した。遠心分離ののち上清をG200 Sepnadexにかけ、SDS-ゲル電気泳動により分子量50,000前後のS抗原分画を同定し、濃縮したのち、さらに線形勾配(0.01-0.2M)のリン酸緩衝液をもちいた吸着カラムクロマトグラフィーによってS抗原を純化した。回収率は約1/7670であった。 2.網膜S抗原によるラットの実験的ぶどう膜網膜炎の作成: 近交系Lewisラットの後足蹠に、完全アジュバントと共に網膜S抗原1microgramを接種した。炎症の各時期に眼球を摘出し凍結切片とした。 3.モノクローナル抗体によって分別されるリンパ球サブセットのimmunoperoxidase法による染色: 凍結切片をブロッキング試薬(正常ヤギ血清)で処理した後、第1次抗体としてマウスの抗ラットモノクローナル抗体(MCA45,MCA48,MCA52,MCA54,MCA55,Serotec Limited製造)を反応させた。次に第1次抗体のF.o部分に第2次抗体(ヤギの抗マウス1gG)を反応させた。最後に第2次抗体のFab部分に標識抗体(ペルオキシダーゼ標識マウス免疫グロブリン)を20分間反応させ、AEC基質を発色させた。 4.カラー画像解析のプログラミング:赤色ないし赤褐色の標識はリンパ球細胞膜に表われるので、これを画像解析装置により自動計測させるプログラムを開発した。このプログラムは顕微鏡の自動ステージを制御し、全視野の標識された細胞を、もれなくかつ重複なく処理するが、標識された細胞の認識には若干の手動操作が加わった。 5.結果:実験的ぶどう膜網膜炎の発症の初期にはTヘルパー・インデューサー細胞とTサプレッサー・キラー細胞が同程度にみられ、いずれも中期にその数を増し、後期には、減少した。la抗原陽性細胞はいずれの時期にも動員された。現在詳細な解析が進められている。
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