研究課題
一般研究(A)
1)高感度ヘモグロビン測定法による口腔出血の定量的解析法の開発:シアンメトヘモグロビンの吸光度(0.D.420nm)を測定することにより、通常のシアンメトヘモグロビン法の約1000倍の感度をもつヘモグロビン測定法を開発した。これにより唾液中に混在する10,000倍希釈血液に相当する低濃度ヘモグロビンを正確に定量することができるようになった。本法は口腔出血の出血状態、止血状態の確認法として有用である。2)高濃度トロンビンの止血効果に関する研究:高濃度トロンビンは凝血障害患者の口腔出血管理に有効であった。これは血餅形成後に血餅中に含まれる末反応トロンビンが血餅周囲に拡散するためと推定された。また血中の種々のインヒビターの影響や血管壁のヘパリノイドの存在を考慮に入れると、臨床的には数1000単位以上のトロンビンを用いた方がより効果的なことが解明された。3)血友病A、フォンヴィルブランド病患者など先天性第VIII因子欠乏症の口腔出血管理におけるDDAVPの効果に関する臨床的研究:血友病A16例、vW病6例、第V、VIII因子欠乏症2例に26回の抜歯、5回の除石、1回の歯肉出血止血に際し、DDAVPを投与した。VIII:C10%以上の症例では確実な止血が期待できるが、VIII:C10%以下の症例では慎重な局所止血処置が必要であった。さらに第V、VIII因子欠乏症にもDDAVPの効果が認められた。4)ヒト口腔粘膜血管内皮細胞内フォンヴィルブランド因子抗原の局在変化に関する研究:vWF:Agを酵素抗体直接法で観察した。DDAVP投与後にvWF:Agは管腔側、基底側細胞膜、基底膜、内皮細胞周辺に分泌された。DDAVPの止血効果はエピネフリンと同様に、血中VIII:C、vWF:Agの上昇の他に、vWF:Agの基底側への分泌により発現することが解明された。
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