研究分担者 |
石浦 正寛 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (20132730)
米田 悦啓 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (80191667)
目加田 英輔 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (20135742)
金田 安史 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10177537)
山泉 克 大阪大学, 細胞工学センター, 助教授 (70107093)
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研究概要 |
DNA等の巨大高分子物質の細胞への効率良い注入法の開発を行った. 裸のリポソームに10kb以上のDNAを包む事は容易であるが, 細胞と融合せず細胞内へ注入する事が出来ない. そこでこのリポソームとHVTを保温して細胞に加えると約10%の細胞にDNAの一時的発現がみられた. さらにリポソームの構成分の1つとしてガングリオシドを用い, これにHVJを加えて細胞に添加すると, 全細胞にDNAの一時的発現がみられた. 赤血球膜とDNAを混合し非イオン性界面活性剤を添加後希釈すると, 赤血球膜にDNAやIgMを包む事ができる. しかしこの赤血球膜は受容細胞との融合率が低くわずか約10%の細胞にDNAの一時的発現がみられるだけである. そこでガングリオシドを持ったリポソームをこの赤血球膜に加えHVJと共に細胞に添加すると, 全ての細胞にDNAの一時的発現がみられた. 以上の事から, 赤血球膜に蛋白質を, リポソームにDNAを包みHVJで融合させ細胞に加えて, 同じ細胞にDNAと蛋白質を同時に注入する事も可能になった. これ等の方法はDNAを細胞質に送り込む方法であり, DNA発現の場は核であることから, DNAの核への運搬を考えねばならない. HMG1のモノクローナル抗体はHMG1によって核へ運搬される事を明らかにした. この事から, 核蛋白質は核への運搬ドメインとDNAとの結合ドメインの2つを持っている事が明らかになった. ここでDNAを核へ効率良く運搬させる可能性が生まれた. ジフテリア毒素フラグメントAを裸のリポソームに入れておくと, このリポソームはSSPEやHIVウイルスの感染した融合細胞に選択的に融合して, これ等疾病細胞のみを選択的に殺す事ができた. フラグメントAの基質であるペプチド伸長因子2(EF2)やその毒素耐性変異EF2のCDNAをクローニングした. この事からEF2の構造と機能が明らかになり細胞生物学研究への応用への道も拓く事が出来た.
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