研究概要 |
1.研究目的 昭和60年度から63年度までに、沖縄における長寿者の食生活に視点を置き、聴取り調査から食品利用の特色を明らかにし、食品の特殊成分ならびに動物実験による生理効果を明らかにし、食生活と長寿との関係を考究することを目的としている。 2.研究方法 昭和60年度は(1)聴取り調査においては家族構成、食生活状況、栄養素・食品摂取状況ならびに郷土食について、(2)食品分析では長寿者に好まれている豚肉料理の脂質成分について、(3)動物実験ではよく飲用されている茶と野菜のコレステロール低下作用等を研究分担して行なった。 3.結果 本年度の研究により次のことがわかった。 (1)平安座地区の長寿者を対象にした聴取り調査により、ア.家族構成数は1〜9人で、長寿者の25%は独居であった。イ.1人1日平均エネルギー摂取は約1,250kcalであり、エネルギー構成比は蛋白質15.2,脂質28.7,糖質56.1で、バランスのよい状態であった。ウ.1日の食品摂取量では魚介類と獣肉類の割合が約50%づつであった。植物油も利用されていた。食品摂取総量は少ないがバランスのよい状態であった。エ.郷土食の中にはデンプン採取残渣を利用した料理もあり、一般に食物繊維の豊富なものがみられた。 (2)食品成分分析は豚肉およびその料理約40試料について脂質分析を行った。ア.豚肉の脂質量およびコレステロールは調理中のあく取りをすることで減少し、変動の大きいものは肩ロースの部位、殆んど変動のみられないものは豚足であった。イ.脂肪酸組成は調味により不飽和脂肪酸比が高くなった。 (3)動物実験ではウーロン茶とスイゼンジナの白ネズミの血清コレステロール低下作用をみたが、両試料とも著しく低下作用のあることがわかった。 (4)60年度購入備品の高速液体クロマトグラフィにより、野菜の1種ツルムラサキを用いてビタミン類の定量方法を確立した。
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