研究概要 |
1.くものすかびアスパラギン酸プロテアーゼであるRhizopusペプシンの2種のアイソザイムを等電点電気泳動により單離し, 各々の一次構造解析を行なった. この結果, 両者間に8ヶ所のアミノ酸置換があることが判明し, 各アイソザイムの全一次構造が決定された. 2.ブタとサルのペプシノーゲンAの活性化機構を比較解析し, 活性化の初期には分子内活性化が必須であるが, 全体的活性化には分子間活性化反応が主に寄与すること, また一段階および多段階活性化の様想に顕著な種属差があることを示した. 3.ヒト胃粘膜より非ペプシン型酸性プロテアーゼであるslow-moving proteaseを分別,單離し, 基質特異性,免疫交差性,Nー末端アミノ酸配列等を換索し, カテプシンDよりはカテプシンEに近い分子種であり, 一次構造的にはペプシンA等と相同性があることを示した. 4.ラット胃ペプシノーゲンCの遺伝子を單離,クローン化し, その全エクソン(9個)と周辺の塩基配列を決定した. エクソン,イントロンの数と配列は, ヒトペプシンノーゲンAおよびC遺伝子の場合と同様であった. 5′上流域の配列はヒトペプシノーゲンCの場合と似ているが, ラットにのみGCボックスおよびグルココルチコイドワルモンレセプター結合部位のコア配列がみられた. また, ラットの生育時におけるペプシノーゲンC遺伝子の発現量がグルココルチコイドホルモンによって誘導されること, 5′上流域と特異的に結合する蛋白質が胃組織の核分画に存在することを示す知見を得た. さらに, ラットペプシノーゲンCおよびヒトペプシノーゲンA遺伝子の発現とそのメチル化度が逆の相関関係にあることを示した. 5.ブタペプシノーゲンのcDNA中の活性部位残基の変換体を数種調製し, 大腸菌で発現させ, 翻訳産物を單離した.
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