1)インターフェロンの放射線の線量効果曲線に及ぼす影響 Sarcoma180細胞を用いて、線量効果曲線の各種要素について検討した。SLD回復に関与するDo値の変化は軽微であったが、増加する傾向を示した。細胞の放射線感受性を示すDo値は、インターフェロンの前投与により増加、細胞の放射線感受性は低下した。即ちPLD回復は促進され、且つ比較的高線量域での防護活性が示された。n要素は減少した。インターフェロンを照射後に投与したときには、放射線防護活性は出現しなかった。 2)防護活性とDNA合成に関する検討 インターフェロンによりDNA合成が抑制されない細胞系でも、放射線防護活性が出現するので、DNA合抑制による放射線感受性低下ではなく、DNA修復メカニズムを増強するものと考えられた。 3)In vivoの系の検討 インターフェロン誘発剤であるPoly ICLCを投与して、マウスの全身照射実験で、850R照射では防護効果、マウスの延命効果が認められた。1050R全身照射では延命効果は認められなかった。 遺伝子組換によるインターフェロンIFN-A/Dを使用した場合は、5×【10^3】単位、2×【10^4】単位、1×【10^5】単位/マウス投与しても、マウスの延命効果は認められず、逆に照射線量、投与インターフェロン量に応じて、照射対照群より早く死ぬことから、インターフェロンの分子種によって放射線防護性の有無がある可能性が、細胞増殖抑制活性発現部位と防護活性発現部位が異なることが示唆される結果が得られた。 今後インターフェロンの分子種の異なる製品を用いて検討をおこない、インターフェロンの放射線防護活性の作用メカニズムを解明してゆく予定である。
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