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1986 年度 実績報告書

舞台の時間・舞台の空間-その成立と構造-

研究課題

研究課題/領域番号 60450005
研究機関神戸学院女子短期大学

研究代表者

阿部 好一  神戸学院女短, その他, 教授 (60175180)

研究分担者 塚田 康弘  神戸学院女子短期大学, 文芸科, 講師 (90155333)
岡田 行雄  神戸学院女子短期大学, 文芸科, 講師
上倉 庸敬  神戸学院女子短期大学, 文芸科, 助教授 (90115824)
キーワード劇場 / 舞台時間 / 舞台空間 / 舞台言語 / 現実
研究概要

本年度は、初年度に獲得された舞台概念を、具体的な作品の場において、入念に練りあげた。「劇傾向」という人間存在に根原的な衝動を、演劇を中心軸に据えながらも、さまざまな芸術ジャンルにおいて検証したのである。こうしたミクロ的な作業によって、ジャンルを横断するマクロ的な舞台概念が厳密に形成された。思いがけず立ち現われたのが、現代の舞台に充溢する「流動性」の概念である。これは、戯曲・舞台・映画それぞれにおける『アマデウス』を比較することによって発見されたもので、ことに現代演劇に顕著であることが判った。すなわち、現代演劇においては、演劇固有の技法(ストップ・モーション、スポット・ライト等)によって、舞台上のある限定された空間と時間を、プロットの展開上の特定の空間・時間から切り離し、抽象的な時間・空間のなかに置くことができる。いわば、時空の抽象牲が実現され、その抽象性に保証されて時空の「流動性」が実現されるのである。かつての舞台上の空間・時間表現の約束事に束縛されることのない、この舞台の「流動性」は、装置・演出のみならず、戯曲の世界の内部にも仕掛として組み込まれている。たとえば『アマデウス』(戯曲)の「風」という登場人物がそれである。当今「流動性」は、さしたる異和感もなく、リアリズム系の演劇に認められる。ところで、具象的空間および時間から自由に離脱する傾向は、非リアリズム系演劇に濃厚であり、しかも現代演劇ではむしろ非リアリズム系演劇が主流である。とすれば現代演劇そのものが舞台の空間・時間の展開にあたって「流動性」をそのひとつの特色としていると言える。そして「流動性」が現代演劇の舞台上の実現にかかわる概念であってみれば、それは、演劇だけでなく、オペラにも舞踊にも見ることのできる、すこぶる現代舞台的な概念なのである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 阿部好一: 神戸学院女子短期大学紀要. 20. 1-12 (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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