研究概要 |
M.W.M.とはこのプログラムを作成した3人の著者のイニシャルである。そこではコミュニケーション過程のモデルを3つの面から理論的に構成されている。回路,機構の水準ならびにプロセスである。MWMプログラムはそれにもとづき、学習障害を示す子どもの治療的指導と発達的指導に使用される。 ここでは、MWM式障害幼児用言語訓練プログラムの難点を克服しその改訂版を開発しかつその適用をはかることを研究目的とした。"MWM"は要素的であり、パラディグマティスティックないしシンタグマティックな面が強調されすぎており、意味論的な面が欠けている。そこでMWMプログラムの長所を生しながら意味論的な面を加味し、障害児のための新しいプログラムを完成させようとした。そのため意味的構成体(S.O)の概念を導入し、収集的思考と拡散的思考が指導できるような指導プログラムに改訂した。意味論的構成体は、動詞 名詞 概念ならびにエピソディック構成体に分けて構成した。そのための指導マニュアルは3分冊にわけて完成させた。学習材料は日本の文化になじむように描き直した。スクリーニングテストとしてのMWMインベントリーも標準化した。標準偏差が大きく分布がなめらかでないので 偏差値は利用できずパーセンタイルを採用した。12の柱から成るがそれらは(1)受容,(2)代表水準での情報処理,(3)表出にまとめられた。全国規模でデータを収集し、3歳より7歳までの幼児に適用できるようにした。年齢別個人総得点の平均とS.D.年齢別下位項目の平均とS.D.過程別の平均得点とS.D などのデータを得た。標準学力テストとの相関は高く妥当性は有意であった。折半法による信頼度も有意であった。因子分析では言語因子一つのみを抽出した。 意味論的構成体についても指導プログラムを完成させた。障害児への適用ではかなりの効果をあげていた。
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