研究概要 |
3年間にわたり, 上記題名で各種の実験と調査を行なった. われわれが環境を認知する際, 問題となるのは, 個人の側の問題と外界に存在する刺激の問題であり, 外界認知は, 両者の相互作用によって決定される. 本研究は, 個人の内部条件として心的分化度をとりあげ, 地理的環境をどうとらえるかを課題とした. 具体的には, 認知地図の分析という形をとる. 最もおおきな認知地図として日本全国14ケ所の都市の距離推測を行なわせた. そこでわかったことは, 推測距離は, 常に過大視されること, 過大視は中間距離で最も大きいこと, いったことがあるという経験(心理的距離にかかわる)は推測距離を小さくすることなどである. 次に身近かな勧業についての認知地図の分析を行なった. ここでは, 駅と大学の間の地図を実際に描かせて, これを各方面から分析した. 地図のよさはnode(道の交差点)の数が多い程よいことが明らかになった. いわゆる方向感覚の問題になるのであるが, nodeの数が多い人程, 個人的な心的分化度も高く, 方向感覚に関する自己認知もよいことが明らかにされた. 方向感覚, 認知地図ともに男性の方が女性より優れていることも明らかにされた. 最後に地方人の大都市ならびに自分の住んでいる所についてのイメージ分析を行なった. 大都市についてのイメージは, 年齢によって異なり, 成人が「生活のしにくい所」と感じ, 高校生が一番あこがれを感じている. 大都市から離れるに従ってプラスのイメージが強くなる. 「東京」についてイメージをきいて得たデータを分析したところ, 「東京砂漠」「混み合い」「Enjoy東京」「先進都市」という4つの因子を得た. 今後これらの大から小におよぶ環境認知に関して, 構造的な分析をしたいと考えている.
|