研究概要 |
人々が一定のまとまりをもって生きるいかなる地域社会でも、中央・地方の行政体や種々の企業が数多くの地域改良,地域開発計画を立案し、実施に移してきた。そうした計画には住民の生活にとって必要不可欠のものもあれば、逆に生活を脅やかすものもあった。その地域を大きく変化させてきたものは大きい力を持つ行政府や企業群であったろうが、住民もまたその住民組織を通じて地域社会の改善に取り組んできた。住民運動のもつそうしたエネルギーや自律性に注目することが本研究のねらいの一つであり、それらを具体的に長崎県諫早市,新潟県三条市,北海道帯広市で検証しようとしている。 このため、対象3市の市役所,商工会議所,農協,図書館等から地域社会計画に係わる相当量の文献資料を入手し、また要点の聴き取りを行い、それぞれの市に存在した諸計画の洗い出しを行っている。 一方、これら地域社会諸計画が企画立案され 景、およびそれらがいかに実行されたかあるいは実現されなかったかを理解するために、3市それぞれを内部から、また外側から迫まることとした。すなわち、その都市の社会構造を理解するために各界各層のできるだけ多くの人々と出会い、種々のissueについて聴き取りを重ねた。同時に、周辺の市町村へもできるだけ足を運んで、そこから当該都市を眺めやった。その都市が"都市"であることの理由がより鮮やかに浮き上ってきたといえる。 さらに、各市の数多くの計画主体の中から、より綿密な調査を行うため、いくつかの団体,住民組織を選択している。次年度はこれらの対象へ聴き取りを行うことが課題である。こうした作業を進めるにつれて、ある面で住民ないし住民組織の主体性,自律性が高いことを確認するに至っている。
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