本年度研究実積中特記すべき事項は、A調査基本表の集計・分析作業を終予したことと、それにともなう新たな知見である。 基本表の分析の結果、来年度に行なうクロスタビュレーションの様式や、B調査(補足分)の進め方を決定するために必要な多くの材料を入手することができた。 それらのうち、特記すべきものは、この地方の極端に低い老人同居率、裏返せば、独居老人・老人夫婦世帯の孤独老人がきわめて多い事実は、彼等の子等の近住によって支えられているという注目すべき事実である。すなわち、この地方の老人は、大都市に蚕食され残された形で生活しているのではなく、子供達は拡散の範囲を狭め、近住と密な接触により老人を支えているのであり、鹿児島のある意味で時代を先取りした進歩性をかいまみることができる。この面から、さらに堀下げて行くことにより、一層詳細に特徴を知り、日本の老人問題解決のよすがになればと願っている。
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