研究課題
一般研究(B)
本研究の成果としては、次の点をあげることができる。第一に、本研究では民衆意識に着目するアジア史研究の台頭という状況をかなり明らかにすることができた。中でも、インドにおいて、従来の歴史学のエリート主義的歴史像を批判する中で台頭してきた『サバルタン・スタディ』グループなど、日本以外のアジア諸国内部の歴史学の新しい動向にふれることができたことは有益であった。このような動向が各国で成長することが、日本のアジア史研究者にも新しい世界を開き、異文化を背景にもつ我々が学問的な寄与をなせる領域を拡大することになるであろう。第二に、本研究では、「みろく信仰」の日本・韓国・中国でのあり方の比較、「イスラム信仰」の中央アジアから北アフリカまでの広がりの中での比較、キリスト教に対する中国や韓国の社会的対応の比較などを行ない、日本の「民衆史研究』が到達している成果を、アジアとの比較という視点から再検討することができた。
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