研究概要 |
1.61年度末に発表された許毅の論文(「中国語文」第5期)に,人工知能コンピューターへの自然言語の入力と出力の技術的研究が重要な課題である,と述べられているように,最近の中国における音響音声学的は新しい段階にはいっている. 自然言語の情報処理のためには,音声の識別と合成による研究が必要であるが,音声合成装置を欠く本研究では,中国側の研究発表を待たなければならない部分がある. また本年度は研究経温報告書に述べた理由によって,当初計画の進行が遅延した. 2.本年度においては,中国側の研究が基礎的データを得るために極めて作為的な発話を分析しているのに対して,本研究では自然な発話の中から中国側の発表する研究結果に相当するものを選び出すことに作業の重要をおいた. その結果, 次に述べるいくつかの間題についてその解明に努めた. (イ)声調と文音調とのかかわり方に,従来の定説となっていたいわゆる同時的付加と継起的付加の2方式で処理することが妥当か否か. (ロ)文音調によっても声調の型は変らないとする新説が現われたが,そうであるとすれば,文音調はいかなる音響学的特徴によって知覚されるのか. (ハ)声調の型の変化は,文強勢によって生ずる,とするのであれば,それはどのようなものか,またそれが聴覚的に本来の型と知覚されるのは,いかなるファクターによるものであるか. 上記について,自然な発活の中から該当する場合を選び出し,音響学的特微を測定した. その結果については,研究成果報告書に述べる.
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