研究概要 |
地域公共財の社会的評価に関する方法を概括したのち、諸外国の地方公共団体の財政を分析し、アメニティと地域公共財整備との関連について検討した。その際、地域公共財整備にあたって、モニター制度,生涯学習システム,公共図書館,情報・通信ネットワークなど地域環境の総合的認知のためのシステムをどのように構築するかが重要な問題点であることが確認できた。そこで、情報・通信インフラストラクチュアと地方公共財の関係を問うことが課題遂行上必要になり二,三の検討を行った。まず、情報化社会における公共部門の管理システムのあり方を検討するうえで、情報化社会における「コミュニケーション手段」の発達に着目し、その概念を生産手段とは区別してまず確定し、労働と不可分一体であるコミュニケーション過程が、機械装置によっておきかえられたとき、いかなる特徴が労働過程に生ずるかを解明し、また、その際の公共部門の機能についても基礎的検討を行った。 さらに、ごみ処理施設整備を事例にとって、近年提唱されている製品アセスメントが社会的評価システムとなりうるための条件について検討した。住民が製品アセスメントの実質的な主体となるためには、その必要となる専門的知識を共有するための教育,研究,情報・通信インフラストラクチャーの共有化が確立される必要があり、具体的には、専門的知識を獲得する機会,たとえば専門家,各種データ・ベースとの交流,アクセスを保障する公共機関の援助が必要であることが確認できた。
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