研究概要 |
本研究は, 国際(日英独)比較の視点からME生産技術の導入・使用と企業経営の諸問題を, 工作機械企業を事例にして明らかにしている. 具体的には別冊報告書(5月1日提出予定)に示されているとおり, 次の点を明らかにしている. 第1章「日本, 西独, 英国の工作機械産業の概要」では, この業界の世界市場で日本が優勢的地位を占めている理由を, 精度中位の汎用機(NCI工作機械)の生産に焦点を合わせかつ低価格で生産することに成功したこと等, 英独との比較の視点から明確にされている. 第2章「製造工程におけるコンピューター化」では, ME生産技術の特徴を純粋に技術的視点から明らかにし, 第3章「工作機械産業とME技術」では, 個別企業におけるME技術の開発・導入の経過について経営戦略的な観点から分析している. 第4章「ME機器導入過程の社会的側面-日独比較-では, アンケート調査に基づき, (1)ME導入の意思決定過程に, 経営内の13の各機関ないし各階層の人々がどの程度関与したか, (2)ME導入に対し労働者ないし労働組合が賛成(反対)した場合, さらに(3)ME導入・使用の下で労使関係上コンフリクトが生じたか, 生じた場合どんな手段で解決したかを明らかにしている. 第5章「ME生産技術の企業内雇用および職務編成に及ぼす影響」では, 国際比較の視点から, 企業内雇用への影響, 職務編成の相違とその理由・背景等を明らかにし, 第6章「国際比較に見るME生産技術の導入・使用への労働組合の対応」では, ME技術=ニュー・テクノロジー協定の締結状況と協定の内容を, スカンジナビア諸国, 英国, 西独, 日本を比較し, それぞれの特徴を明らかにしている. 本研究は, ME生産技術と企業経営について, 工作機械企業を中心にして国際比較の視点から分析している点において斬新であり, 学界に裨益するものと確信している.
|