研究概要 |
昭和60年度研究実績に引き続いて、「K,S,Al3社、3職位にほぼ共通する因子の存在が示唆されたものの、細かくみると、少しずつ会社間,職位間で、内容面で異なる因子が存在することが示唆された。」ことについて、3社3職位を包括するような因子(基本次元)が抽出できないかどうかを檢討するため、因子分析における因子抽出に際しての因子打ち切り基準をより総合的に再檢討した。こうした檢討結果をふまえて、管理範囲にかかわる諸条件・諸要因の3社3職位間比較も行なった。 主要な研究結果を要約すると、(1)管理範囲にかかわる因子が概ね5因子であることが明らかとなった。(2)因子の命名を行ない、会社間および職位間比較を行なったところ、因子構造に関しては、会社間での差異は少ないものの、職位間での差異はかなり大きく、それぞれの職位に固有な内容がえられた。(3)職位ごとの因子分析による因子得点により会社間の差異を檢討したところ、各職位で企業規模に応じた差異のあることが明らかになった。(4)業務の進行状況の適否や部署内の人間関係の適否の程度を職位ごと会社別に算出したところ、イ)これらと管理範囲にかかわる因子プロフィールの間には関連があること、ロ)上記(3)に一致する企業間差異が認められたこと、ハ)管理・監督者とその上司の評価は概ね一致し、一般從業員より過大評価する傾向のあること、などが明らかとなった。今後の檢討課題として、(a)今回の檢討を通して示唆された、管理範囲にかかわる諸条件・諸要因についての知見が、他の企業のデータによっても同様にえられるかどうかの檢討、(b)これまでの優良企業あるいは普通企業にとどまらず、業績に問題のある企業についての、同様の檢討、(c)以上の檢討を介して、業種別、規模別、組織構造別等の比較檢討を行なことが必要であろう。(研究実績の発表については、11,研究発表の〔雑誌〕論文〕欄発行年1987論文課題を参照)
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