研究課題/領域番号 |
60450091
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今村 奈良臣 東大, 農学部, 教授 (60020525)
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研究分担者 |
坪井 伸広 農村金融研究会, 研究員 (50311593)
若代 直哉 東京大学, 農学部, 助手 (40011994)
谷口 信和 東京大学, 農学部, 助教授 (80163632)
森島 賢 東京大学, 農学部, 教授 (50113634)
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キーワード | 農地信託 / 利用権 / 農地運用サービス / 農用地利用調整システム / 農地法 / 農協法 / 農用地利用増進法 / 転包 / 転譲 |
研究概要 |
農地信託を基盤におきながら農地(農場)の効率的利用をはかる農業経営者の創出、ならびにそれら農業経営者に対して多面的な農業技術情報サービスを行う、アメリカの農地運用サービス会社の活動の実態と機能の特徴については昨年度において重点的に考察した。 本年度は以上の研究を踏まえて、日本、中国について重点的に研究を行った。 日本で農地信託と言われる場合には、農地法、農協法に規定された農協による農地信託制度に限定されている。しかし、厳密なこの農地信託制度の対象となって流動化している農地は非常に微々たるものである。現在、農地流動化の主流は農用地利用増進法による利用権設定によるものであり、これが農業経営の規模拡大と農地の効率的利用に寄与している。しかし、この利用権設定された農地のかなりの部分は農地信託的発想にもとずき運用されているように思われる。利用権設定を安定的なものにし、農地の有効利用をはかるためには、新しい農用地利用調整システムの確立が必要であることを提起した。 また、中国では農業の集団化が解体し個別経営への移行をみている。その場合、農地の公有制を背景に農地の使用権は均等に個別農家に人口割り、労働力割りで配分された。その結果、零細な経営が多数創出されたが、農業生産力の発展のためには専業戸の育成が当面する政策課題となっている。つまり使用権を農業生産に意欲をもつ農家へ集積することである。これを転包または転譲という。転包は必ずしも多くは進んでいないが、この動向を分析することは現代中国農業を展望する場合欠かせない課題である。
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