研究課題
一般研究(B)
本研究は昭和60年度、61年度の2カ年間にわたる研究であるが、初年度は主として課題への接近ということで実態調査に力を入れ、実に多様な商品を扱った。調査の結果、以下のような点が明らかになった。(1)加工用輪入原料農産物は、加工過程を経ているために表面的にはわからないけれども多くの加工食品の原材料として使用されている。(2)加工食品産業の経済構造は直接加工費にしめる原料費の割合は70-80%以上をしめるという特殊性のために原料調達と原料価格が加工利潤を規定している。したがって加工利潤は、労賃率の利潤率の関係ではなくて、原料調達率にたいする利潤率となっている点が明らかになった。(3)加工食品産業の製品市場競争が年々はげしくなり、国内の高い原料調達をさけて、安い海外からの原料調達に関心をもっているが、関税制度などによって比較的割高な原料になっているものもある。したがって、安い原料や労賃を求めて食品加工資本は、最近、発展途上国への資本進出が盛んになり、そこでの製品を逆に輪入しているという実態もあきらかになった。(4)食品加工企業の規模別に原料調達や収益率の分析によって、大手企業ほど安い海外の原料を選択でき、収益性をあげているが、中小企業の食品加工ほど国内の割高な原料調達を余儀なくされているので、食品加工企業間の階層分化と資本系列がすすんでいる。(5)また、国産原料と海外からの輪入原料による加工品の品質が問題になっているが、品目によっては国産の原料が品質的に劣り、輪入原料が優れていることもあり、国産原料農産物の改良をすすめるべき点が明らかになった。
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