研究概要 |
1.諏訪鉱山産テルル鉱物に対して、【^(130)Te】の二重ベータ崩壊半減期(8.5±1.2)×【10^(20)】年が得られた。この値は、筆者(NT)らが以前に発表した半減期と一致し、又Missouriグループの主張する半減期とも一致している。しかしHeidelbergグループの主張する値とは約2倍の違いがある。 2.Cash鉱山産テルル鉱物に対して、二重ベータ崩壊起源【^(130)Xe】を検出定量した。テルル鉱物の化学式(【Ag_3】AuTe)から見積ったテルル濃度(20%)とララマイド期(63±17Ma)の地質年代を仮定すると、【^(130)Te】の半減期は(8.6±2.3)×【10^(20)】年となり、上記の結果と一致する。 3.鉱脈形成時期が地質学的にはっきりしている諏訪鉱山と大谷鉱山のテルル含有鉱脈について、方解石と石英を用いてK-Ar年代測定を試みた。得られたみかけのK-Ar年代は、地質学的に妥当な年代に比べて3倍から8倍も古く、方解石や石英がいわゆるエクセス【^(40)Ar】を含むことが分った。この事実は、方解石,石英あるいはテルル鉱物のようなカリウム濃度の低い鉱物を使って得た年代が、大きな誤差を含む可能性を意味し、テルル鉱物自身のK-Ar年代測定を目ざした研究計画に対して、慎重な検討を必要とすることが示された。
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