昭和61年度、前年製作した観測装置を、南米ボリビア国チャカルタヤ観測所に搬入、シャワー・アレイを建設した。11月下旬より予備観測に入った。これにより、シャワーのトリガー条件、Fast Timing回路の時間応答速度を上げる等、装置の改善を行った。昭和62年7月、本観測に入った。 4ケ月の観測データでは、例数不足は避けられず、未知のγ線源探索より、計画の当初から、UHEγ線源候補のVela X-1と赤経12^h〜14^h、赤緯0゜〜-40゜の広がった天空領域内のDiffusedγ線について、重点的な解析を行った。飛来するUHEγ線のFlux強度が周りのBack groundの平均レベルと比べて、特に、有意なExcessは見られていない。異常に高い強度のUHEγ線でない限り、短期間の観測で有意な結論は得られない。因みに、UHEγ線が最初に発見されたCyg X-3の場合、統計的に有意な結論を得るのに、4ケ年の観測データが使われた。今回はVela X-1からのUHEγ線の強度の上限を求めた。10^<14>eV以上のエネルギーで、上限値は1.1×10^<-9>/m^2sであった。同一エネルギー領域の、1960年代のデータの解析では、20ケ月の観測から、例数は少ないが、positiveな結論を示唆した。そのFlux強度は、1.5×10^<-9>/m^2sであった。今回の上限値と大差ない。詳細な検討は装置の特性や解析方法の面から議論される。 昨年2月、出現した大マゼラン星雲の超新星1987Aについても、解析を行ったが、UHEγ線が飛来した形跡はない。爆発後1年経った現在、まだ、どこからもUHEγ線検出のニュースはない。 現在は、これまでと同じトリガー条件で、引き続きシャワーを観測し、データの蓄積に努めている。
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