研究課題/領域番号 |
60460032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新庄 輝也 京大, 化学研究所, 教授 (70027043)
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研究分担者 |
中山 則昭 京都大学, 化学研究所, 助手 (00164369)
細糸 信好 京都大学, 化学研究所, 助手 (30165550)
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キーワード | Artificial Superlattice / MnSb / Monolayer / Two-Dimensional Magnetism |
研究概要 |
本年度はMnとSbの組み合わせによる人工格子の生成しその磁性を研究した。Mnは低温で弱い反強磁性を示すが室温ではMn,Sbとも磁性は持たない。しかしMnとSbを交互に蒸着すると強磁性化合物であるMnSbが生成されることがわかった。しかもMnSb層はSb層とエピタキシャルな配向を示す。Mnの厚さを1【A!°】にするとSbでサンドイッチしたMnSb層が合成され、ヘリウム温度では強磁性を示すことがわかった。MnSb層が4層以上の厚さであれば磁化容易方向が膜面内にねているのに対し、2層以下にすると膜面垂直方向に変化する。この現象は以前に研究したMgでサンドイッチしたFe原子層のふるまいとよく似ている。残留磁化の温度変化から推定するとキューリー点は100K以下であるが、強い外部磁場下で磁化測定を行うと室温でもある程度の磁化が見られ、短距離相互作用はかなり高温まで保たれていることがわかる。この点もFe-Mg系の単原子層磁性体とよく似ており、二次元磁性の特徴であると思われる。MnSbはFe-Mg系と異なりエピタキシーが存在し、構造解析が可能であり、目下詳細な検討を行っている。室温での経時変化を調べてみると、Mn層が4【A!°】以上の時は次第に界面のMnSb層の形状が3次元化して周期構造に劣化が生じるのに対し、1【A!°】すなわち単層の時には層状であることが比較的安定で、顕著な定時変化は見られないという興味深い結果が得られた。構造を更に詳しく調べるためには試料断面の透過電子顕微鏡測定が有効であり、目下試料の切断を試みている。磁気構造を更に検討するためには中性子回折を利用する必要があり、測定を準備中である。 その他、本年度はFe-Dy人工格子を作成し、室温で強磁性が発生する領域磁化が垂直方向を容易軸とする領域などを調べた。
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