研究概要 |
本研究の主な目的は, 渦音の基本的性質を実験にもとずいて明らかにすることであった. 流体力学の基礎方程式から出発して, 渦運動および放射音の解析を行い, 渦音の基本法則を明らかにすることであった. 実験の方法は, 高速の渦輪(秒速50m程度)を発生させ, それを円柱などの物体に当てたりして, 生ずる音波を無響室内で, いろいろな角度にわたり測定した. 得られた音圧データは自動処理によって記録し, 平均値の算出, フーリエ分解等を行なった. 特に放射音の多重極成分を実験データから明らかにしたことは, 本研究の大きな成果である. 本科学研究費によって, 初年度(昭和60年度)は無響室を購入, 設置した. これによって実験環境が保証され, 実験が実質的にスタートした. 次年度(昭和61年度)は, 精密な音響測定器一式と検出した信号を記憶するウェーブメモリを各1台設置した. これによって, 音波の測定が確実となり, 検出信号の様々な性質が調べられた. この年度には, 他の財源からの備品によって, 測定の自動化を推進した. 最終年度(昭和62年度)には, 信号発生器, プリンタ, 書籍等を購入し, 実験のテスト, 記録, 文献資料等における充実を図った.
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