研究概要 |
得られた成果は以下の通りである。 1.地球の自転,楕円体,非弾性,及び水平方向の不均質構造を考慮に入れた総合的なモデルに対する自由振動の正規モード解の、変分法による厳密解の計算法の開発。 2.1.で求めた正規モード解を用いて、自由振動の固有振動数及び理論地震記象に対して偏微分係数を計算し、それを用いた不均質構造のインバージョンのアルゴリズムの定式化、及び開発。 これらのうち、1では、現時点で最も大きな試験関数の集合を用い、周期200秒付近の自由振動のモードの不均質構造によるカップリングを調べた。この結果、不均質構造によるモード間のカップリングは、分散曲線上の隣り合うモードで非常に強く、また、捩れ振動と伸び縮み振動とのカップリングも大きいことがわかった。これらのカップリングは、不均質構造の水平方向の波長がモードの波長と比べて充分大きい場合でも顕著となることがわかったが、これは今迄無視されてきた点である。 2.では、固有振動数及び固有関数の偏微分係数を計算するための定式化を行い、1.で計算した固有関数を用いて、この偏微分係数が数値的に充分な精度が保証されるかどうかを試験した。その結果、充分な精度をもち、インバージョンに使用するために充分実用となることがわかった。 これらとは独立に、水平方向の不均質構造を考慮した一般的な運動方程式を導いた。これは特に、初期応力に関する情報なしでも運動方程式を書き下すことができるようにしたものである。 今後は、1.2の結果を用いて、これらを実際の地震記録に適用し、不均質構造のインバージョンを実行し、不均質構造モデルを得る予定である。
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