研究概要 |
1.多機能顕微分光法の確立-吸収, 蛍光励起・醗酵・寿命, 熱蛍光- 天然のものも, 合成した結晶も微細な形のものが多い. これらを鏡下で観察と同時に標記のような情報が取れればこれらの研究の進展に好都合である. 光源に通常の高圧ガスランプの他に, YAGレーザーを用いた. 検出器は, -25°C位に冷却して雑音を減じた. 信号処理はロックインアイプにボックスカー積分法も導入して, 極微的な蛍光の検出と寿命の測定が可能になった. この手法をジルコンに適用して, その有用性を実証した. 2.ジルコンの3つの蛍光タイプ 産状の異なる約百種のジルコンを世界の有名な産地から収集した. これらの蛍光スペクトルを測定して解析し, それらの蛍光中心や発光メカニズムから, 3つの蛍光タイプを認識した. (1)ジルコンの蛍光タイプI-Dy^<3+>, Eu^<3+>, Sm^<3+>, Tm^<3+>の4f電子の遷移- ジルコンの微小均質領域10μm^2から上記の希土類元素が検出できた. これらは人工結晶に16種の希土類元素をドープした実験結果から確認された. Euについては熱中性子照射実験結果との対比から, 鏡下で定量が可能であることを示した. (2)ジルコンの蛍光タイプII-U, Thの放射崩壊に伴うSiOラジカルー このタイプは数MeVのエネルギーの荷電粒子(α,P)がジルコン中に標記のラジカルを作り, これらが蛍光中心となっていることを始めて実証した. この蛍光は熱によって消滅し, 又, 回復したり, 結晶学的方位に敏感に対応する, 紫外光に敏感であるなど特異な性質のあることを明らかにした. (3)ジルコンのタイプIII蛍光-不純物元素の電荷アンバランスー U^<3+>, P^<5+>やCa, Mnなどの作る電子-正孔中心が蛍光中心をなしている. 天然では産出が珍である.
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