研究概要 |
元素半導体及び【III】-【V】族化合物半導体には、エネルギーギャップEgが、0.2eV以下のものが存在しないため、赤外受光素子には、【II】-【VI】族又は、【IV】-【VI】族化合物間の混晶半導体を用いなければならない。現在、【Hg_(1-x)】CdxTeが赤外ポイントセンサー材料として実用化されているが、固体撮像素子材料としては、種々の困難に直面している。我々は、Hg溶液からの特殊な液相エピタキシャル成長(LPE)法によりHgTeをベースとした新しい混晶系【Hg_(1-x)】MnxTeの大面積結晶の育成に成功した。この新しい混晶系では、混晶比が、従来の【Hg_(1-x)】CdxTeの場合の半分以下で、Egが実用的な値に達するので、新素材として極めて有望と期待される。 本研究では、LPE成長法により作成した【Hg_(1-x)】MnxTe系について、【Hg_(1-x)】CdxTeの場合と比較しながら各種の新しい手法による特性評価を行なった。特に、微小ギャップ半導体の新しい特性評価法として、強磁場を応用した新しい手法を確立し、センサー材料として基本的に重要なキャリアー再結合プロセスの素過程を明らかにし、それと結晶性との関連を明らかにすることができた。また高速重イオン後方散乱測定法を用いることによって、Hgを含む重い元素からなる化合物半導体の精度の高い分析を行うことができ、従来の方法では得られなかった、多くの新しい知見を得ている。 これらの成果は、大別して、液相エピタキシャル成長【Hg_(1-x)】MnxTeに関するもの,【Hg_(1-x)】CdxTeの電子過程の新しい手法による研究に関するもの,及び主に【Hg_(1-x)】CdxTeに関する新しい組成分析による原子移動の研究に関するものに分けられるが、現在さらに、強磁場赤外分光光伝導度測定等が広範に進められている。
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