ダイヤモンド工具を用いた鏡面切削を、Al合金を被削材として行い、加工表面の性状について研究した。今回はとくに表面近くの現象を中心に調べ、つぎの結論を得た。すなわち (1)仕上げ面あらさと切削条件との関係は、刃先ノーズ半径によりかわるが、送り速度は20mm/mm(17.2μm/rev)、切り込み深さ15μn〜20μmが適当であった。しかし、切削長さにより仕上げ面あらさが変化し、安定して切削できる切削距離があることがわかった。これは、ダイヤモンド工具の摩耗の進行に関係がある。ある程度工具摩耗が進行すると、Al合金は安定して切削できる(900Km程度まで)ことがわかった。 (2)工作物の残留ひずみは、切削条件により大きな影響を受ける。とくに荒加工のときの切削条件および取り付け条件には、十分注意しなければならない。材料処理から加工工程全般に関して、十分注意しなければならない。 (3)工作物の残留応力は、表面性状を考える上で重要である。この残留応力も又、加工工程により大きな影響を受ける。荒加工(切削)では〓〓〓の残留応力が、鏡面切削では圧縮の残留応力が生ずる。残留応力は拠処理により小さくすることができる。又、工具刃先のノーズ半径および送り速度に影響を受ける。 鏡面仕上げの場合、Al合金の結晶が問題になり、切削条件により、結晶内すべりも発生する。 これらの研究結果をもとにし、切削条件が十分かえられる超精密加工装置の製作を行った。しかし、現在はこの装置の改良を行っており、さらにこの装置を用いて研究を続ける予定である。
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