1.混合気体中の電子エネルギー分布をボルツマン方程式を解くことによって計算し、これより混合気体の平等電界におけるフラッシオーバ電圧を求める方法を本研究室は提案していたが、この手法が一般的に有効であることを確しかめることができた。 2.現在ガス絶縁として広く使用されているS【F_6】ガスを中心に、S【F_6】ガスと同じ負性気体であるC【Cl_2】【F_2】と【C_3】【F_8】、空気の主成分である【N_2】【O_2】、不活性気体の代表としてArなど各種単独気体のフラッシオーバ電圧とこれらのうち2種類を混合した場合の代表例について混合比に対するフラッシオーバ電圧の特性を実験的に明らかにした。 3.フラッシオーバ電圧がほぼ等しい負性気体どうしを混合するとフラッシオーバ電圧の混合比に対する曲線はいわゆるシナジズムの特性を表わして上に凸になり、ある混合比で各成分気体よりも大きい最大値をとることを実験、理論両面より明らかにした。 4.混合気体の不平等電界における放電機構を解明する実験を行った。不平等電界においては成分気体、ならびに水蒸気と思われる不純物気体の微量の混合が放電特性に少なからぬ影響を与えることがわかった。従ってこれらの点を十分制御した実験を今後行うことによってこれまでに得られたデータの新しい解釈が可能になると期待される。 5.パッシェンの法則に従わない唯一の気体である【C_3】【F_6】ガスを用いて実験を行った結果、紫外線の照射によってフラッシオーバ電圧が圧力1気圧以下では差が著るしく、1.5気圧以上では逆にほとんど差が無くなるという特異な性質を見出した。
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