研究概要 |
本研究は、人間の脳の中で行なわれている情報処理を構成的,数理科学的に研究すると同時に、それを、外界の認識システム、特に、視覚情報処理システムの設計に応用する事を目指したものである。 脳の情報処理の特徴は、その並列性にあり、これが、視覚に関する膨大な量の情報を高速で処理するのに役立っていると考えられる。本研究では、未だ実際の並列処理システムを作成するには至っていないが、そのようなシステムに適したアルゴリズムを理論的に構成し、これをパソコンシステム、或いは、さらに強力なワークステーションで、シミュレーションして、その動作の長短を確認,調査している。 動画像から、運動成分を抽出するアルゴリズムが、前年度までに得られているが、今年度は、CCDカメラによって得た画像データを使って、このアルゴリズムの実用上の問題点の検討をなった。その結果、おおむね予想どおりの性能を確認したが、いくつかの状況下では、視線方向の運動成分と、回転運動の検出に、大きな誤差が出る事が判明した。この様な場合は、ある程度長い時間の連続したデータを使った。さらに精密なアルゴリズムが必要であると思われる。 一方、並列処理機械ボルツマンマシンに関する理論的研究の結果、内部素子を欠く相互想起型ボルツマンマシンは、学習と反学習の結果、直交学習と同等の性能を得る事が分った。内部素子を持つボルツマンマシンは、これ以上の可能性を持っているが、これが、学習と反学習の組み合わせによって、どの程度引き出せるかは、未だ分かっていない。
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