同じ特性を有する2個の半導体レーザーをハイブリッド結合器(ハーフミラーまたは3dB方向性結合器)の対称端子に接続し、差動端子に反射板を設けて反射位相を適当に調整すると、2つのレーザー発振器は逆位相に同期しハイブリッド結合器の総和端子からは出力光が打消されて出ないようにすることができる。このような状態において総和端子から外部信号光を注入すると、2つのレーザーは同相同期状態に移行し、増幅された光信号が出力することが理論的に導かれる。このような現象を確認するための基礎として、レーザー発振素子の諸特性の測定を行ない、レーザー相互同期解明のために必要なモデルを作った。次に得られた主な結果を記す。 (1)基本的に、半導体レーザーは能動的媒質を有する長方形の誘電体光共振器に過ぎないが、媒質が大きな非線形性を持ち、共振モード数が非常に多いので、簡単なモデルでは不充分である。従来のモデルは集中定数によるものであったが、分布定数的に表現する等の改良を行なった。また、レーザー相互の空間的配置による影響も考慮する必要がある。 (2)マイクロ波におけるモデル実験を参考にして、新たなレーザー・マウントを設計・製作し、ベルチェ素子を付加することによって、発振周波数もかなり自由に変化できるようにした。 (3)実験には組立てが容易なレンズ結合系を採用しているが、振動に弱いので、防振台を準備して安定化を計った。また、電子回路による負帰還を施して更に安定化することも考えている。 (4)レーザーの発振特性・同期特性の定性的な測定が終ったので、定量的な測定を行い、相互同期および増幅特性の確認に移行する。
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