研究概要 |
1. 車両走行試験:前年度に続き、実車試験をわだち路面及び平坦路面で実施し、現在データ処理を行っている。また前年度までの実車試験結果から、走行速度,わだち乗り移り距離,運転者,車種等の影響や車両のバネ上、バネ下固有振動数と操縦安定性等について考察した。その結果、(1)乗り移り試験では、RMS値による評価から乗り移り距離一定の時、速度に対する振動の増加率は、バネ上,バネ下とも進行方向に対して横方向の方が上下方向より大きく、操舵力,操舵角の傾向と考え合わせると速度の増加による横方向の振動の増加が運転者の応答を上回る傾向にあると推測された。(2)直進走行試験では、わだち路を走行する車両の挙動特性に関して、バネ上,バネ下とも左右方向の振動が、相互の固有振動成分によっても増幅される傾向にあることを試験から確認した。 2. 力学的モデルによる車両運動の解析:実車走行試験では限定される条件(種々の路面条件の設定が困難等)があるため、走行試験の結果を基に、各質点の自由振動を考慮した10自由度モデルを作り、わだち路における車両の動的挙動の再現,3自由度モデルとの比較等を行った。その結果、低周波領域におけるモデル化は、かなりよく成功しているが、高周波領域成分の再現,車両諸元の推定手法の確立等が今後の課題として残った。 3. その他:確率的モデルによる車両運動の解析については、実施計画に入っていたが、検討の結果、前年度までの成果で一応終了させる事とした。わだち路と交通事故に関する統計分析では、データ収集が予定より遅れたが、現在データ作成と処理を行っているところである。これらの経過から、わだちの形成が、交通流に及ぼす影響評価分析に関しては、以上の結果を総合する必要があるため、今年度後半〜来年度に行う予定である。
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