研究概要 |
エネルギーを有効に利用することが時代の必須の要請である今日, 昼間の建築照明に於いても昼光を有効に利用し, 人工照明が消費する電力の節減を計らなければならない. 昼光照明の予測評価の計算には, 天空の輝度分布を設定しなければならないが, 従来から用いられている一様天空やCIE標準曇天空は, 天空の輝度分布の実体に即していないので, 電力の有効利用のための実際に即した昼光照明計算には役に立たない. そこで筆者は, 実際の天空の輝度分布の平均である平均天空とその構成方法を提案した. 本研究は, これを世界の各地で適用できる方法に昇華することを第一の目的としている. 本研究で開発し, 改善した平均天空の構成方法は, 天空の輝度分布を晴天空, 中間天空, 曇天空, の三つに大別し, 日照率から求めた検討地点に於ける検討期間の検討就業時間に対する太陽の高度別の平均的な天空, すなわち, アバリッジスカイを求め, これを天球上の太陽の位置の出現頻度により加重平均する方法である. 本研究では, この方法を世界の各地で用いることが可能なように, 諸数式を整備, あるいは, 作成, その標準化を行った. また, その資料として, 世界各地の日照率を計算し, 整備した. 更に, 実際の応用の為に平均天空のように数式化が不可能な天空輝度分布を用いる場合の昼光照明の近似的な予測計算法を提案し, 併せて, 併用照明時の消費電力の予測評価方法を開発した. また, この為のマイクロ・コンピュータのプログラムを開発した. 本研究の成果は, その目的から, 国際的に適用することが可能なものでなくてはならない. この為に, 主として, 国際照明委員会の技術委員会TC309を通して, 世界の各地の昼光照明の研究者に絶えず批判を仰いだ. そして, 本研究の成果の大部分は, 同委員会の最終技術報告書の骨子となることが, 1987年のCIE大会の折りに開かれたTC309の会合で決まった. 筆者の望外の喜びとするところである.
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