研究概要 |
本年度は昨年に引き続き、デザインプロセスのモデル化作業を行なった。具体的な作業は以下の3つである。 1.非専門家による設計行為にみられる空間の表象構造の分析 建築の非専門家による住宅の設計実験を行い、そのプロセスにみられる形態・空間の表象構造の特性を考察した。その結果、素人が住宅の諸室を構成していく時には、四角い外枠の中に各室をシークエンスに沿って配置していく方法、すなわち認知マップに現われるような行動に基づく論理(階段を上って等)が重要な役割を果たしていることがわかった。このような操作の結果生じた空間的予盾は最もあいまいなスペースに吸収されることが多い。 2.変形敷地を対象とした住宅設計実験とその表象構造の分析 三角形の敷地にスタジオ、アトリエ付住宅を設計する課題を、非専門家,建築学科学生,プロの設計者に与えて作業をビデオで記録し、その設計プロセスにみられる形態・空間の表象構造を中心に分析した。その結果、素人にみられない操作概念として、行動的空間表象にとらわれない様々な空間把握の単位を持つこと、特にある要素を全体の中の部分としていわば装置化したものとして扱えること、また規準線等によって敷地を積極的に意味ある部分に分割していく戦略などがみられた。 3.外形を限定した住宅設計実験とそのコンピュータプログラム化 外形を長方形に限定した住宅設計を3人の被験者(建築大学院生と工業化住宅の設計者)に対して行なった。プロトコル分析の結果として、設計者は各室をばらばらに作っていくのではなく、構造化された一種の空間的枠組み-昨年度指適した「型」をベースにして作業を進めることがわかった。3人のプロセスと用いられた「知識」を整理、モデル化しコンピュータプログラムとして表現した(prolog言語使用)。
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