1.研究の視点 本研究は、戦後米国政府の統治下にあった沖縄の都市計画について、法制度面及び実態面から明らかにしようとするもので、(1)統治下における沖縄郡市・建築関連法制の成立過程の分析、(2)都市計画関連制度手法の工夫と運用の実際把握、(3)これらによる、その後の市街地形成上の影響と効果の検証、を明らかにし、今後の沖縄における都市計画史研究並びに都市計画制度手法の改善への一助とする。このため次のステップで研究を進めた。 (1)戦後の沖縄都市・建築関連法制の成立と変遷 (2)街路形成を中心とする戦後の市街地形成過程の分析と問題点の抽出 (3)独自の制度手法による市街地整備・住宅建設などの効果と課題の解明 2.研究報告書の構成 本報告書では、先の研究ステップに基いて、まず、第1章で戦後沖縄における都市・建築法制の成立とその変遷を整理する。続いて第2章では、那覇市を対象として、細街路を中心とするマクロな戦後の市街地形成過程とその特徴を分析し、さらに、第3章で、その細街路及び沿道建物が抱えている問題の特質及び課題をとらえた。第4章では、戦後独自に行われた制度手法である那覇市の「細部街路」計画を取上げ、その計画決定に至る経緯と、細街路の誘導的な整備効果と市街地形成上の問題を実証的な方法で解明したうえで、今後の運用課題についても考察を加えた。第5章は、戦後の「割当土地」「規格住宅」が成立する背景とその実施状況を、不良住宅地区問題の発生及び改善調査の経緯とからめて分析整理し、さらに、現在に残存する不良住宅地区居住者の実態と意識について調査分析を加え、今後の共同的建て替えの可能性を含む課題について考察した。
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