研究概要 |
我々はアモルファス合金の電気伝導現象を系統的に研究するために、アモルファス合金を磁性状態に応じて5つのグループに分類し、各グループ毎に特徴をとらえて議論を進めてきた。この中で特にグループ4と5に分類された非磁性合金が不規則系の電気伝導現象を理解する上で基本系であるとの認識に立ち、今年度は両グループの合金を集中的に研究し大きな成果を挙げた。 まずフェルミレベルがd-バンド内にあるグループ4合金系としてLa-及びY-基アモルファス合金及びNi-Zr-X(X=H,B,Al,Si)三元アモルファス合金、またフェルミ・レベルがSP-バンド内にあるグループ5合金系としてCa-Mg-X(X=Al,Cu)三元合金、さらに組成を変化させることによりグループ4から5に電子状態が変化する系としてCu-Zr-Al合金系を選び、電気伝導機構が電子状態の変化に対応して特徴的に変ることを証明した。グループ5合金系については100以上の合金について伝導現象を調べ、全て"一般化されたFaber-Ziman"理論で良く説明出来ることを示した。一方グループ4合金についても100近い合金について実験を行ない、d-電子による伝導が重要であると結論した。これらの研究成果は8月に西ドイツで開催された"液体とアモルファス金属"に関する国際会議で発表した。また12月にインドで開催された"金属および半導体ガラス"に関する国際会議で招待講演し、多くの研究者から高く評価された。 61年度の補助金でパーソナル・コンピュータ(HPモデル310)及びその周辺機器を購入し、これにより電気抵抗、低温比熱ならびに熱電能の自動測定を可能にし測定精度の向上と研究の能率を著しく高めることが出来た。
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