研究概要 |
代表研究者らはアモルファス合金を磁性状態に基づき5つのグループに分類しその電気伝導現象を3年間にわたって系統的に研究してきた. その主要な結果を以下にまとめる. (1)5つのグループの中で特に非磁性に分類したグループ4及び5は伝導機構の研究に最も重要である. グループ5はフェルミ準位がSP-電子によって支配される. 一方, グループ4はα-電子により支配されている. このような電子構造の差があるにもかかわらず, 電気伝導にはもっぱらSP-電子が関与しているとこれまでは信じられてきた. しかしグループ4ではα-電子が主たるキャリアであることを本研究は明らかにした. (2)SP-電子が伝導を支配するグループ5において比抵抗の増加とともに散乱機構が変化することを明らかにした. 比抵抗が200μΩ-cm以下すなわち電子の平均自由行程が平均の原子間距離よりも長い領域ではボルツマン方程式から導かれるノーユルな伝導機構が支配すること, 比抵抗が500μΩ-cmを越えると伝導電子のモビリティが低下し, その結果電子相関および波動関数の干渉効果が増大して量子局在効果が支配的になることを示した. (3)500μΩ-cmを越す高比抵抗のグループ5が示す量子補正効果がグループ4の伝導機構と本質的に同じであることを示し, 非磁性の不規則合金における電気伝導機構が統一的に理解出来ることを示した.
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