研究概要 |
難加工性材料の成形法として近年注目を集めている超塑性成形に用いられる超塑性変形は、粒界すべりを主要な変形機構としており、徴細粒組織をもつ材料にしばしば見られる。またこの変形中には、顕著な粒成長が生じることも知られている。この変形中の粒成長は、これまでは延性を損うものとして、いかに抑えるかに焦点が絞られてきた。しかしながら、これは加工硬化を引き起こし、変形の安定性を高めることが期待される。本研究は、超塑性変形中の粒成長挙動に注目し、以下のことを解明した。 1.超塑性変形中に起こる粒成長のうち、変形誘起成分は(【D!~】/【Ds!~】)で評価でき、この変形誘起成分が、加工硬化を通して変形の安定性に寄与する。ここで【Ds!~】は静的粒成長のみが起きた場合の粒径である。 2.Zn-22%Al共析合金において、超塑性変形誘起粒成長は、ひずみ速度や変形温度に依存せず。 ln(【D!-】/【Ds!~】)=αε,α【〜!〜】0.3 と表わすことができた。また、ひずみ速度一定の引張試験において、この変形誘起粒成長から期待される大きさの加工硬化が観察された。 3.従来の解析に欠けていたmとγの物理的意味を考察し、定常変形応力におけるmと変形誘起粒成長によるγを用いて、構成方程式を提出した。 4.この構成方程式に基づき、ネックが存在する場合の変形状態を表わす微分方程式をたて、変形の安定性を調べた。その結果、超塑性変形は常に不安定であることがわかったが、ネックの成長速度が小さい場合に変形はより安定であるとみなすことができ、安定性のパラメータとして J=(γ-1)/m を導いた。
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