我々は、レジン床の応力集中部に金属板をはりつけて補強する方法を考案し、一連の研究を行なった結果、以下の成果を得た。 1.金属板をはりつけた各種レジン平板試験片を用いて3点曲げ試験を行い、最も効果的な補強法について検索したところ、引張り応力が発生する側の最表層部に金属板を接着性レジンではりつけた場合に最大の補強効果が得られることが判明した。(昭和59年度第72回補綴学会で報告) 2.上記の結果を参考にして、上顎全部床義歯の引張り応力集中部に金属板を接着性レジンでもってはりつけ、荷重時におけるひずみ量を測定したところ、無補強義歯に比べはりつけ補強義歯のひずみ量は著しく小さくなり、著明な補強効果が得られた。(昭和60年度第73回補綴学会で報告) 3.この補強法を実際に臨床に応用する場合の問題点について検討し、その結果、比較的簡便で、しかも、良好な補強効果が得られる方法を考案した。(昭和60年度補綴学会中四国支部会ならびに昭和60年度第74回補綴学会で報告) 4.新たに、下顎全部床義歯にはりつけ補強法を応用することを考え、その前段階として、下顎全部床義歯の応力分布について検索したところ、応力集中部は下顎義歯正中部であることが確認された。(昭和61年度補綴学会中四国支部会で報告) 今後は、下顎全部床義歯における効果的な補強法について検索してゆく予定である。
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