研究概要 |
予混合型CO_2ガスダイナミックレーザにおいて, 気体を冷却するためのノズルとしてくさび形ノズルを用いた場合, 斜め衝撃波が小信号利得係数に与える影響は大きいという知見を昨年得たが, 今年度は, くさび形ノズルの開き角の違いによる影響について調べた. その結果, 開き角は異なっても, 小信号利得係数に与える影響はノズルの幾何学的形状と斜め衝撃波の発生する角度より導き出したパラメータによって整理することができるという指針を得た. 次に, 強制混合型CO_2ガスダイナミックレーザにくさび形ノズルを用いた場合についての研究を行った. まず, ノズルから噴出する異種類の気体の混合のようすの可視化を行った. さらに, 小信号利得係数測定実験を行った. その結果, 強制混合型CO_2ガスダイナミックレーザにおいても斜め衝撃波が小信号利得係数に影響を与えることが明らかになった. ガスダイナミックレーザに用いられる光共振機は汚染,破壊を避けるために, 流路から後退した状態で設置され, くぼみを作っている. このくぼみの影響を調べるために, 流れ場の可視化実験と二次元数値解析を行った. その結果, くぼみはくさび形ノズル出口で発生する斜め衝撃波の形状を変え, 小信号利得係数に影響を与えることを明らかにした. また, 二次元数値解析によって得られた斜め衝撃波の形状は, おおむね良い一致をみた. ガスダイナミックレーザの研究では, レーザ発振に利用する高温気体の物性値を知る必要があり, 本研究では, 今後の研究への第一歩として混合気体の熱伝導率の測定を行った. また, 強制混合型ガスダイナミックレーザにおいては, 気体の混合機構および混合方式の研究は不可欠である. 今年度の研究によって, 気体の混合過程を調べるための可視化実験と小信号利得係数測定実験への糸口が得られた.
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