研究課題/領域番号 |
60460230
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菊田 惺志 東京大学, 工学部, 教授 (00010934)
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研究分担者 |
安藤 正海 高エネルギー, 物理学研究所・放射光実験施設, 教授 (30013501)
高橋 敏男 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20107395)
河津 璋 東京大学, 工学部, 助教授 (20010796)
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キーワード | 核共鳴散乱 / シンクロトロン放射 / 多層膜 / メスバウアーγ線 |
研究概要 |
本研究では、シンクロトロン放射を用いて、^<57>Fe同位体を周期的に配列させた多層膜によって核共鳴ブラッグ散乱を生じさせ、高指向性で、バンド幅の極端に狭いビームを得ることをめざした。まず、^<57>Feと自然鉄の層を交互に積んだ多層膜が、核共鳴ブラッグ散乱をS/N比よく観測するのに適していることを見出した。これは、この多層膜がトムソン散乱に対しては周期性をもたず、核共鳴ブラッグ散乱の起こる方向へのトムソン散乱の寄与が少ないからである。共鳴条件を考慮した動力学的回折理論にもとづく計算を行ない、多層膜を作成する際の最適条件を求めた。その結果、8〓の厚さの^<57>Fe層と12〓の厚さの自然鉄の層からなる100周期の多層膜を2枚平行に配置して、数eVのバンド幅の入射線を続けて反射させればよいことがわかった。この場合、散乱線の角分布はブラッグ角を中心に±0.2°ぐらいに広がり、スペクトル分布は回折条件を厳密に満たす付近では、自然幅の15倍以上に広がる。多層膜が理想的にできている場合の他に、各層の厚さにばらつきがある場合と層間に拡散がある場合について、散乱線の角分布をシミュレーション計算で調べた。 多層膜の作成は、分子線エピタキシー装置を用いて行なった。作成した多層膜の良否は、特別に製作した、^<57>Co線源をもつメスバウアーγ線散乱装置を用いて調べた。設計値にしたがって作成した多層膜では、計算に一致するブラッグ角に回折ピークが観測された。一方、高エネルギー物理学研究所のPFリングに設置されたウィグラー・ビームラインに、本研究用の精密なX線光学系を整備した。多層膜による核共鳴ブラッグ散乱の観測を試みたところ、予想される散乱角の位置に小さなピークを見出した。散乱線の強度を増大させるには、多層膜の作成条件を改良して、膜質の向上をはかることが必要である。
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