研究概要 |
1.PWR型原子力発電所の1次系ループに、配管の中,小破断が発生したとき、破断発生後数10秒間のプラント計装信号を用いて、破断口面積および大凡の破断場所を推定する手法を開発した。これらの推定結果と、60年度に開発した蒸気発生器の1次側から2次側への伝熱量の実時間推定結果を、実時間事故追跡シミュレーション・コード、TOKRAC(60年度以前に開発)の入信号として、事故プラントの観測できない内部状態変数の時間的振舞を、実時間で追跡計算できるようになった。 2.PWR型原子力発電所の蒸気発生器細管破断事故を対象として、破断口の面積,破断流量,蒸気発生器細管の伝熱と破断流による熱移動を合せた、1次側から2次側への熱の移行量を、プラント計装信号を用いて実時間推定する方法を完成した。 3.これ迄の実時間事故追跡シミュレーション・コード,TOKRACは、1次系の配管を1ループで近似していたが、蒸気発生器の細管破断のように破断口面積が小さく、2次側の操作も破断ループと健全ループで異なるような場合は、1次側についても破断ループと健全ループを分離して模擬する必要がある。このため、これ迄のTOKRACモデルを、2ループモデルに改良した。 4.PWR型原子力発電所が将来負荷追従運転を行うようになることを想定して、このような運転状態でで、警報レベルに達しないような小さな異常が発生したとき、異常外乱の種類や大きさをプラント計装信号を用いて実時間推定する方法を研究し、一応の見通しを得た。これについては62年度にも研究を継続し、手法の完成を期したい。 5.事故プラントの内部状態変数の将来の振舞を予測する手法の研究は、62年度に計画している。
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