研究概要 |
軽水炉や、新型転換炉の安全解析において、入口管破断等を想定するとき、炉心内で下降二相流が生じうる。あるいはこの時、炉心上部よりECC水が注入されるが、上部に吹き上げる蒸気と、下降する冷却水との間で、蒸気一水対向流(CCFL)による炉心の再冠水阻害が起きることがある。この時炉心内流れは振動し、あるいは不均一流になるなどいわゆる不安定状態にあるが、しかし、現象は極端に非定常、かつ非線型的性格を有し、その複雑さのために現象の類別、支配パラメータの抽出、あるいは発生機構の解明は出来なかった。よって、本研究において、既設の並列多流路二相流実験装置を改造し、下降二相流の不安定現象について、以下の二種類の体系について系統的実験を行い、あわせて解析を行うことにより、本現象の発生機構、条件を調べた。 (1)実験その1(第二上昇管付並列管)各々三本の加熱管(第一上昇管,下降管,第二上昇管)からなる並列二流路実験装置とし、実験を行い次の三種類の不安定現象を観察した。(a)発生蒸気が下降管を経て第二上昇管に流入した際に大きな循環駆動力が生じ流量が増加することが繰返される"静圧項支配型密度波不安定"。(b)下降管内に蒸気が流れにさからって滞留するが、これは静特性上は不安定な現象であり、並列二流路系で、一方の流路で全流量相当分が流れ、他方では流量が零となる"逸走型不安定"が生じた。(c)下降管内で発生蒸気が流れに逆らって上昇し上部でこれが凝縮する際に、"凝縮介在型振動"が発生した。 (2)実験その2(第二上昇管無並列管)並列四本の加熱下降管のみを有し、第2上昇管を無くした体系につき実験を行い、次の二種類の不安定現象を観察した。(d)低流量域で流れに逆らって上昇し、上部で気相が滞留することによる液位の成長。(e)高流量域で、下端で発生するフラッディング。両者とも著しい流量低下、ドライアウトを引起す。
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