研究概要 |
山梨県四尾連湖において9月、12月の2回総合観測を実施したほか、諏訪湖において補助的な調査を行なった。結果は次のとおりである。 1.四尾連湖のように熱容量が小さい湖では、循環期であっても昼間は成層が発生する。垂直流,溶存酸素の変化も、この水温成層に支配される。 2.溶存酸素の日変化も明瞭である。酸素量は、昼間に形成される弱いサーモクラインの下層で大きくなり、この影響は夜半まで及ぶ。 3.垂直流速は1〜2cm/S 以下であるが、これも水温成層に対応した日変化を示す。表層に微弱な温度差が発生すると(0.1 ℃)、垂直流は停止するのが一般的であるが、次に述べる例外もある。 4.水温と垂直流の異状変化として、水塊の水平移動に伴なう場合がある。狭い湖でも表水温の水平分布には差があり、風向・風速が変化するとき、これにともない短時間内に移流が発生し、通常の対流をはるかに上廻る大きさで垂直流が発生する。この際に、一定の層の水塊が全て交代する。 5.上にのべたように、水塊の水平移動は本問題を扱う上で無視できないことがわかった。したがって、来年の観測には、これを含める予定である。 6.本年購入したデータトランスミッターは、変換プログラムを作成し観測資料の解析に利用している。
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