研究課題/領域番号 |
60460239
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 孝嘉 東大, 理学部, 助教授 (60087509)
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研究分担者 |
打木 久雄 東京大学, 理学部, 助手 (50142237)
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キーワード | クロロフィル生合成 / 時間分解ラマン分光 / プロトクロロフィリド・ホロクローム / ラマンスペクトル / 光反応中間体 / 黄化葉 |
研究概要 |
今年度は申請した時点における研究計画に従って着実に進められた。その成果はつぎの4つにまとめられる。(1)ナノ秒時間分解ラマン分光装置の改良(2)クロロフィル生合成過程実験試料の抽出(3)ピコ秒時間分解ラマン分光装置の試作(4)クロロフィル生合成過程の中間体の時間分解共鳴ラマンスペクトルの測定。 (1)まず昨年度購入したエキシマーレーザーを励起光源にした色素レーザーを自作した。またシグマ光機(株)に特注した遅延学路、およびユニソク(株)に特注した信号処理制御回路の最終調整を行った。さらにこれまで用いていた分光器に迷光が多かったので、それを製作した日本分光(株)の協力を得て迷光を除くように色々な工夫をした。その結果、分光器の明るさをほとんど変えずに迷光の強度を三分の一以下に下げることができた。 (2)そらまめや、かぼちゃなどの種子を暗所で発芽させ黄化葉を育てた。暗所における化学的処理により黄化葉からプロトクロロフィリド・ホロクローム複合体を得た。 (3)ピコ秒時間分解ラマン分光装置の製作。ナノ秒時間分解ラマン分光装置のレーザー光源部をピコ秒色素レーザーに入れ替えるためのNd:YAGレーザー励起による2台の色素レーザーを自作した。 (4)(2)で得られた試料を用いてナノ秒時間分解共鳴ラマンスペクトルを測定することを試みた。クロロフィルの前駆体であるプロトクロロフィルド・ホロクローム複合体、およびその光反応中間体は微弱ながらS蛍光を発する。またにごった試料であるので時間分解CARSは不可能である。異なった励起波長で得られた蛍光スペクトルの重なったラマンスペクトルの間の差を取ることにより、蛍光スペクトル成分を相殺しラマンスペクトルを得ようとしている。
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