研究概要 |
1.液晶性ベンゼン誘導体の分子構造の拡張に務め, 六方対称性をもつディスコチック液晶相を示す系列として次の5種類を得た. 即ち, N, N′-ジアルカノイルー2, 3, 5, 6-テトラキス(アルカノイルオキシ)ベンゼン, N, N′, N″-トリアルキルー1, 3, 5-ベンゼントリカルボキサミド, N, N′, N″-トリアリカノイルー2, 4, 6-トリメチルー1, 3, 5-ベンゼントリアミン, N, N′-ジアルカノイルー2-メチルー1, 3-ベンゼンジアミン, 並びにN, N′-ジアルカノイルー2, 4-ビス(アルカノイルオキシ)-1, 3-ベンゼンジアミンである. 更に, ネマチック液晶相を示す誘導体としてN, N′-ジアルカノイルー2, 4, 6-トリメチルー1, 3-ベンゼンジアミン, N, N′-ジアルカノイルー2, 3, 5-トリメチルー1, 4-ベンゼンジアミン, およびN, N′-ジアルカノイルー2, 5, 6-トリメチルー4-アルカノイルオキシー1, 3-ベンゼンジアミンの3系列を見いだした. 2.液晶性アルキルアンモニウム塩における対イオンの影響を調べる目的で, アルカンスルホン酸塩, 種々の置換基を導入したベンゼンスルホン酸塩, ならびにナフタレンスルホン酸塩を合成し, 熱測定, X-線回折を試みた. いずれもスメクチックA相を与えるが, 陰陽両イオンの配置は対イオンにより異なる. 3.広い温度領域でネマチック液晶を与える4-(4′-置換ベンゾイルオキシ)ベンジリデンアニリンのアニリン部分の隣合う位置にクロロまたはメチル基を導入して, 透明点の変化を調べ, 累積効果の存在を確認した. 4.2, 5-ビス(4-アルコキシベンジリデン)シクロヘキサノンと関連2系列を合成した. 鎖が長くなると, いずれにおいてもスメクチックC相が出現し, 等方性液体へ直接に転移する.
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