研究概要 |
1.陰イオン界面活性剤の対イオンに、電荷の極在、分散及び分離した多種の陽イオンを用い、対イオンの電荷の相違が、活性剤の固体物性及びミセル形成熱に及ぼす効果を、当科研費で購入したDSCを用いて熱的に研究した。その結果、対イオンの電荷が局在したもの及び極端に分離した活性剤では、その固体状態は安定化し、融点及び相転移の温度も高く、ミセル形成熱は発熱的であることがわかった。 2・Polyoxyethylen alkyl etherの高圧下におけるミセル形成の研究では、Small System Thermodynamics(SST)を応用した靜的光散乱データの解析を行なった。圧力の増加は、(1)ミセル会合数の減少,(2)単分散濃度の増大,(3)会合数の統計的分散の減少,(4)ミセル濃度の減少,(5)CMCの増大を伴うことを確かめた。 3.Alkanoyle-N-methylglucamide(MEGA-8,9,10)のミセル形成に及ぼす温度の影響の研究では、これらの非イオン活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系とは甚だしく挙動が異ることを明らかにした。 4.動的光散乱法によるLimuluspolyhemus hemocyaninの圧解離の研究では、【Ca^(2+)】イオンの添加,EDTAの添加,pHなどが オリゴマータンパクが圧により、48量体,24量体,12量体,単量体へと解離して行く過程にいかなる影響を与えるかを調べて、新しい知見を得た。 5.各種胆汁酸塩のミセルの形状、特に内部構造をESRや螢光の方法を用いて調べ、二種類のミセルに大別することができ、SDSのような活性剤のミセルとは異なること,二種類のミセルが共存する濃度領域の存在を証明。 6.胆汁酸塩-ジセチルフォスフェイトの混合系で、ジセチルフォスフェイトに胆汁酸塩添加量を増すと、ベシクル→ベシクル+混合ミセル→ミセルの相転移する様態を明確にとらえた。
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