研究概要 |
題記研究課題につき, 研究期間内に達成した成果は次の通りである. (1)7-18GH_2のマイクロ波帯における赤外レーザーマイクロ波磁気二重共鳴装置を完成し, LMRスペクトルを用いるマイクロ波二重共鳴の方法を開発した. (2)NF_2ラジカルの高磁場LMRスペクトルおよび低磁場LMRスペクトルを用いたマイクロ波二重共鳴スペクトルを振動基底状態について観測し, その解析から, 精度の高いスピンg値と回転g値とを決定した. これから, 本分光法か回転g値を決定する有力な手段であることがいえる. (3)決定されたNF_2のスピンg値から次のことがわかった. スピンg値の等方性成分gsに2.00187を用いることにより, Curlの関係が0.00010の高精度をもってスピンgテンソルを記述する. 上記gsの値のfreesping値からの減少分はrelatiristiccorrectionにより説明できる. (4)同様に回転g値から次のことがわかった. εが比較的大きい値を持つa軸成分gγaについては, 実験値はBarnesの理論から計算した値と一応対応した. しかしεが小さい値を持つb, c軸成分gγ^b, gγ^cに対してはBarnesの理論は成立していない. (5)高磁場LMRスペクトルを用いて(001)振動励起状態のNF_2ラジカルのマイクロ波二重共鳴スペクトルを観測, 解析した結果, 基底状態のスペクトルの解析から求めた電子スピンg値と回転g値は, 良い精度で振動励起状態に対しても用いうるものであることがわかった. 次いで短寿命フリーラジカルに対するこの方法の応用として, (6)二重共鳴セル内でpumping用マイクロ波でCl_2気体を放電しCl電子を生成すると同時にマイクロ波二重共鳴を生じさせる方法を見出し, これを用いてCl原子のLMRスペクトルを用いたマイクロ波二重共鳴スペクトルを測定した. その結果得られた知識を基にして, Cl原子の^2P_<1/2>-^2P_<3/2>準位間エネルギーを正確に決定した.
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