研究課題/領域番号 |
60470026
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大久保 正夫 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30039276)
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研究分担者 |
飯盛 喜代春 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50039244)
小川 琢治 愛媛大学, 理学部, 助手 (80169185)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 有機マグネシウム試剤 / 一電子移動反応 / イミノジマグネシウム試剤 / 電子供与能 / 電子受容能 / 反応熱 |
研究概要 |
本課題の目的は、種々の型の有機マグネシウム試剤と芳香族カルボニルおよびニトロ化合物との反応における構造と反応性の相関について半定量的な基礎を得ることにある。これらの反応に一電子移動が関与することは典型的ラジカル生成物の副生により推定され、いくつかのマグネシウム試剤の電子供与能が(EDA)、酸化ピーク電位からすでに見種もられている。 したがって本研究の第一の計画は、種々の基質の電子受容能(EAA)の指標として還元電位を測定することである。基質と試剤の電位の差(ΔE)値が個々の反応での一電子移動の効率の目安となる。ポーラログラフ装置を用いてカルボニルおよびニトロ化合物の還元電位をTHF-Bu_4NClO_4系で、リンツ大学のグリツナー教授の好意により提供されたビスビフェニルクロム(I)テトラフェニルボラートを内部標準として測定した。えられたΔE値はArMgBr、ArSMgBr、ArNHMgBr、ArN(MgBr)_2、ArOMgBrを含む諸試剤の15種の反応における正常および副生物の分布と相関することが判明した。 第二の計画の熱化学的研究は、デンマーク工科大学のホルム教授が確立したグリニヤール反応における、電子移動の発熱的性格を、我々のMg-N-Mg結合をもつ試剤の反応に適用することである。フロー法を用いる彼の装置による反応熱測定の試みは、流速が不適当で成功しなかった。しかし、ベッマン温度計を用いるバッチ法によって観測された温度-時間曲線は、電気化学的測定値から提案した反応の分類とよく一致することが判明した。 結果はまだ第一近似的な相関の域にあり、EDA-EAA原理の精密化を進めているところであるが、えられた相関々係は反応機構の研究に役立つと期待される。本原理を手引きとして、各種のマグネシウム試剤の合成化学的活用のための基礎的研究も併せて進行中である
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