研究概要 |
【i】深さ方向(表面下)分析実験 カラーフィルムを試料に用いてイメージング実験を行った。即ち、カラーリバーサルフィルムは、表面,黄,赤,青,ベースの層状構造をなしているので、黄,赤,青の三色をそれぞれ別のパターン(三角形,5点,円形)となるように発色させ、これの深さ別のイメージングを行った。遅れ時間【τ_D】を順次大きく設定して実験を行うことにより、これら三層のパターンの変化を明瞭に区別することができた。これらの成果をAnalytical Sciences誌に発表した。 【ii】光熱偏向分光法の実験 表面現象を観測する有力な方法として最近"光熱偏向分光法"が注目されるようになった。これは、光音響分光法における検出をマイクロホンでなくレーザービームの偏向特性を利用するものである。この方法を本研究に取入れるべく、予備的な実験として、溶液中のFe【II】イオンの定量実験を試み、良好な結果を得ることができた。即ち、通常の分光光度法によるよりも約1桁の感度上昇をみることができた。よってこの結果をAnalytical Scilnces誌に発表した。 【iii】バイアセチルガスの時間分解光音響スペクトル測定 Kayaらは、バイアセチルガスにおけるエネルギー移動の過程を位相法により研究したが、相関法によれば一層直接的にそれらの過程を観測できる。遅れ時間τdを種々の値に設定して第2種相関PASスペクトルを測定したが、これは時間分解光音響スペクトルというべきもので、このような測定例は世界初である。
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