研究概要 |
I)測定装置系の改良 本研究を遂行するため, 既存の光音響分光装置系に改良を加えた. 光源部については, 新しいキセノン光源(300W)を導入し, 変調部については, 機械式の回転チョッパーを電気式のAO変調器に換元, 信号処理部については, 専用のシグナルプロセッサーを導入して処理演算の高速化をはかった. II)上記の改良装置系のチェックも兼ねて, 多層フィルム法によるグルコースの光音響定量分析行った. 光音響信号はグルコース濃度0〜2g/lの範囲で直線性を示し, 簡易迅速な定量分析のできることが判明した. そして本法を人間の血液中のグルコース濃度の測定に応用した. III)光熱偏向分光法 表面現象の観測に有力な光熱偏光分光法をとり入れ, これを接触分析法と結合することを試みた. Fe(II)イオンの高感度定量分析が可能となった. IV)深さ方向(表面下)分析実験 カラーフィルムを試料に用いて, 相関光音響イメージング法により, 層状構造試料の断層イメージング実験を行った. 三層のパターン変化を, 数μm厚の深さ分解能で測定できた. V)バイアセチルの時間分解光音響スペクトル 相関光音響分光法における遅れ時間τdを変えて第2種相関光音響スペクトロルを測定することができた. これは, 時間分解光音響スペクトルに相当するもので, このような測定例は世界でも初めてのものである. VI)本研究の今後の発展を期し, X線励起による光音響スペクトル測定の実現を目指し, いくつかの予備的実験を開始した. 有望な結果が得られつつある.
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